いろいろなプロジェクトの取り組みが重なり、北京に少し長めに出張しています。今回は来週半ばにそのままシンガポールに飛ぶ予定なので、気温がマイナスの北京と最高気温が30度を超すシンガポールとの両方のセットを持ってきています。十八大が終わったせいか、少し街の中の活気が違うようにも感じられます。
先日、中国に関するお話しをご相談いただいたあるお客様のところで、「クララオンラインはサーバホスティングの会社だと思っていたんですけども」というお話しが出ました。
確かにサーバホスティングの事業も引き続き各国で展開しています。ただ、特に日本の企業がアジアで事業を展開する際、ご指定いただいた構成でインフラをご用意させていただいたとしても、お客様の事業が成功しなければ、インフラを使っていただいている私たちにとっては大変有難いものの、お客様にとっての事業の目的は達成されておらず、結果的にお客様にとってはハッピーではありません。
今までクララオンラインは日本のインターネット企業の中では長くアジアの事業に自ら取り組んできました。お客様の事業の目的を達成するためには、実は、安定かつ拡張性や信頼性の高いインフラをご提供するだけでなく、そもそもお客様に、「アジアのインターネット」を理解していただきながら事業の組み立てをしていただいた方が、お客様の成功への近道が見えるはずだと考えています。
日本のスマートフォン領域のゲームやアプリの企業がアジアに進出する際、その国や地域の事情で考慮すべきことは山ほどあります。中でも私が最近顕著に変化を感じているのは、通信に依存する比率の高い日本でのアプリのパッケージングから、通信に依存することを少なくする工夫をされたパッケージングということについて理解が進んでいる点です。とても簡単にまとめてしまえば、日本はアプリのサイズを極力小さくし、アプリ内の画像やアニメーションは通信して取ってくるということが多い一方、アジアで展開していく際には同じ3G/4Gの環境があるとは言えず、極力最初にダウンロードさせるパッケージを大きくして通信に依存する量を減らすことが望ましいのです。インフラ屋の視点としてはトラフィックが少なくなることでビジネスが小さくなるように一瞬見えますが、中期的に見れば、そうした工夫を取り入れていかなければ、たとえば中国の通信環境ではユーザにとって使いにくいのです。
実際、例えば中国のケースでは、それなりのファイルサイズがあるアプリを平日の日中に更新してしまうと、アプリを強制的に更新させるようなタイプの場合、「そもそもスマホには2Gのカードしか入っておらずWiFiの環境でしか通信していない」、「固定制のデータ通信料金体系が無いので重たいファイルは自宅に帰ってからダウンロードする」といったような課題にあたり、夜になるまでアクセスが少なくなるという傾向も複数あります。
いずれにしても、インターネットの環境は国や地域によって大きく異なります。それぞれ理解しなければ市場での成功には繋がりません。クララオンラインは11月1日付けで、従来から取り組んできたアジアのインターネットのコンサルティング事業を、アジアビジネスクリエーション事業部という事業部門で独立させ、さらに「アジア」と「インターネット」と「モバイル」の3つのキーワードに集中したコンサルティングサービスを充実させていくことにしました。アジアのインターネットを最も知っている存在として、日本の企業にはもちろん、中国などアジアの国の企業にもお役にたちたいと思っていますし、さらには欧米など、アジアの市場に入ろうとする企業へも価値をご提供できるようになりたいと考えています。