中国電信が上海の南汇に続いて大規模なデータセンタ投資をしているのが内モンゴル。フフホト近郊に作られたデータセンタパーク(正確には「雲計算内蒙古信息園」。直訳するとクラウドコンピューティング内モンゴル通信パーク)には、42棟の建物で約10万ラックの規模のデータセンタを建設する計画を立て、既に4棟が稼働し、2棟が建設中という状況です。
なぜフフホトなのか、と聞くと、フフホトは年間200日以上が10度以下の冷涼な気候であること、発電所が周辺に多くあること、北京や東北の主要都市にも近いことなどのメリットがあるそうです。
金曜日の午前中は、このデータセンタ群を見学してきました。中国電信の内蒙古の方にお出迎えを頂き、フフホト市内中心部から車で走ること約一時間。ただひたすら一直線の道を走り続け、突如として現れたのがこのデータセンタの敷地。
まず最初に案内されたのが、データセンタの全容を示す模型の前。2012年から建設が始まり、現時点では4棟が既に稼働済み。100万平方メートルの土地に42棟で合計10万ラックですから、単純に割っても1棟2500ラック強。そして既にさらに2棟の建設が最終段階であることが実際に見えました。模型の写真の左上あたりにある建物が現在できているもので、全体が出来上がるとどれぐらいの規模になるんだろうかと、若干クラクラしました。
こういう建設計画によくある「計画はデカい。でも使う人がいなくて実態は空洞。」という話はちょっと違いそうで、既に百度や搜狗(Sogou)などが一棟借りしているほか、アリババも一棟借りの予定があるとか。一棟借りって、スケールが...。建設に要する総投資額が公式発表では173億人民元、約3000億円。ちなみに北京で同規模のデータセンタを1棟作ると4~5億元ぐらいなので、一棟あたりの規模感もあまりずれていません。
建物内部の写真は許可されませんでしたが、ホットアイル・コールドアイルを分けて天井には蓋をしている最近のデータセンタのベーシックなスタイル。見せてもらうことができたエリアは、中国電信自体が提供するクラウドサービスの準備中のスペース。現在は南汇のデータセンタで稼働していますが、今後こちらでも提供する予定があるとのこと。その他の詳しい内容はBlogには書くことは残念ながらできませんが、概略だけ書くと
- コアルータの設備はCisco製のとっても高いやつ。お金あるなー。
- 上位のネットワークはChinaNetとCN2。他キャリアのインターネットサービスはもちろん引き込めません。けれどもCN2に抜けられれば中国聯通には国内で接続しているので、決して悪くはありません。
- 電源系設備、発電機等はほぼ全て外国メーカー製。
という感じです。
クララオンラインとしてどうするかは何も決まっていませんが、当社と中国電信との結びつきは相互に強化していっていることを前提にすると、北京・上海でのデータセンタコストとは違い安価に設定されていますから、データストレージや演算系などレイテンシが要求されないケースでは、地方の選択肢も入るのかもしれません。それによ何より、この規模感。中国電信が現時点で持っているデータセンタのラック数(約10万)とほぼ同数のものを一気に作ろうということですから、「本当にそれが全部売れるのかいな」という気にもさすがになります。が、北京や上海のデータセンタ事情を見ていると、1ラック6~7kVA以上が提供できるラックの需要は極めて高い一方、北京・上海などの都市部は電力事情が相当ひっ迫しており、もうこれ以上都市部に大規模なデータセンタをつくるということはかなり難しい状況でもあります。また機会があれば訪れて、進捗を見てみたいですね。