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日本・中国の出国禁止措置の比較とBL

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中国における外国人の出国禁止措置

中国における外国人の出国禁止措置は、民事訴訟法(民事诉讼法)第255条と出入国管理法(出境入境管理法)第28条という二つの法令が挙げられます。出入国管理法では、刑事罰の執行未了または刑事事件の被告人・容疑者というだけでなく、未解決の民事事件がある場合や、中国国内での給与未払いがあるケースでも、それぞれ裁判所(人民法院)や地方政府が出国停止の決定をした場合には出国不許可(中国語では「不准出境」)とすることができるとしています。

この二つは従前から注目されていますので中国で実務をされている方にとってはよく聞く話の一つだと思います。興味のある方は以下を。

日本における外国人の出国禁止手続きの有無

逆に、島国である日本法において出国不許可という手続きがあるのかどうかというと、ありません

出入国管理及び難民認定法では「出国の確認の留保」(第25条の2)のみで、下で触れますが重大な犯罪の被疑者または刑の執行が終わっていないなど限定的です。中国のように民事事件が未解決であるからといって出国を不許可とする手続きは無いわけです。なお、出国を留保できるのは24時間であり、さらにその留保理由は本人に通知されます(出入国管理及び難民認定法施行規則第28条)。この点を中国の手続きと比較すると、中国では不許可理由を通知しなければならない規定は見当たらないという違いもあります。

留保が24時間に限ることで足るのかという疑問については、そもそも留保の対象となる外国人とは、三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪での逮捕状、仮拘禁許可状等が発付されている、または禁錮以上の刑の執行が終了していないという状況ですので、必然的に留保通知前に警察(に連絡が行くことになることから、24時間の留保で実務上は問題ないわけです。

また、留保は24時間に限ることから、その外国人に対して留保を通知した後24時間経過後に同一の空海港において再度出国の確認を入国審査官から受けようとする場合、別件の事由でない限り出国を留保することはできないと理解できます。しかし上記と同様、留保してから24時間以内に対応が可能と考えられることから、こちらも実務上の問題は低いと考えられます。

ところで、日本の出入国管理システム上での留保とは

ところで、何を書きたいのかというと法令に対する興味ではなくシステムに対する興味の方であって、しばらく前から楽しげに資料を読んでいたのです。もう、ルンルンとしながら。

日本においても出入国管理については法令で確認できる範囲は少なく、出入国管理業務については法務省の資料を読み解くしかありません。しかし法務省が公開している資料を丁寧に読み解くと、膨大なページ数の資料ではあるものの、具体的な業務フローがどのようになっているかがよく理解できるようになっています(全く本質ではありませんが、ある資料は500ページを超えており、さらにPDFのプロパティを見るとPowerPointで頑張って作っておられたようで、大変ご苦労なことだと思います...。細かいところでは表記が揺れているので、それぞれのパートを相当数の方が分担されているのでしょうが...。)

たとえば、出国留保のあたりでは、従来から出国時にはパスポートに貼られている証印シールのバーコードを読み取り、FEISと呼ばれるデータベースをたたくとBL照合(ブラックリスト照合のこと)が行われ、問題がなければ入国審査官の目の前にあるパソコンの画面では出国記録登録が行われるというフローが存在していました。
※FEIS=Foreigners Entry and Departure Information System(外国人出入国情報システム)

これは新しいシステムになった後も大きくは変わってはいません(2012年7月に現行のシステムになっている)。個人BL情報のデータベースを照合し、BLへの該当があると入国審査官は事務室へ引き渡し、そこで出国確認の留保に伴う関係機関への通報が行われます。そして留保通知書の作成が同じく入国審査官によって行われ、その後特別審理官に渡り、本人に通知されるという手続きになっています。このようなフローについて、単純出国なのか、再入国の出国なのか、などかなり細かく開示されていることには正直なところ驚きました。ほかの国の事例は時間の関係で全く調べていませんが、ここまで業務フローを公開しているケースは外国でも存在するでしょうか。

BL

ところで、BLという単語。最初に見たときには何のことかと思いきや、出入国管理の用語として一般的な用語であるようで、あらゆる入国管理業務の文章に繰り返し登場しています。ブラックリストという表現ではストレートすぎるのかもしれませんが、私はBLといわれて別のことを想像いたしましたっ!

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