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電信業務分類目録でクラウドサービスはIDCライセンスに含まれることに

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13年ぶりの改正

中国の電信業務分類目録がおよそ13年ぶりに改正されました。2003年に公表されていた現目録は、いわゆるクラウド時代の到来どころかサーバホスティングやIDCの利用普及なども想定しておらず、時代の変化に明らかに対応しきれない状況が続いていました。

今回、昨年12月28日に公表され、今年3月1日から新たに施行される電信業務分類目録(2015版)は、2013年に意見募集稿(パブリックコメント)が公表されてから2年近く経過し、ようやく本改正となりました。

中国の電信業務は「基礎電信業務」と「増値電信業務(付加価値電信業務)」に大別されており、この区分は日本の電気通信事業法の旧第一種と第二種にほぼ類似しています。そのため、いわゆる固定通信・モバイル通信領域への外国からの参入は(直接的には規制されているため間接的であったとしても)想定されない以上、関心を持つべきは増値電信業務の範囲となります。

ここでは、2013年版の意見募集稿と今回の2015年版の改正内容の差に関する重要な点について、増値電信業務の内容を中心に確認することにします。

なお、昨年5月にこのiemoto BLOGで書いている「中国の電信業務分類目録が改正間近か」についてもあわせてお読みください。

2013年版との変更点

まず、分類から確認すると以下の点が2013年時点での意見募集稿(以下「2013年版」)と昨年末に公表された2015年版の差で確認できます。

  1. クラウドサービスは、2013年版では独立した項目として新たに設けられていたものの、2015年版ではIDC業務の範囲に含まれることになった。
  2. 「CDN」の単語が初めて目録に含まれることになった。(なお、CDNの項目は2003年版にはなく、2013年版からの新出です。)
  3. ソーシャルネットワークがより広範囲に定義。

まず1.のIDCとクラウドサービスの関係については、2013年版では、

B12 互联网资源协作服务业务
互联网资源协作业务是指利用架设在数据中心之上的设备和资源,通过互联网或其他网络以随时获取、按需使用、随时扩展、协作共享等方式,为用户提供的包括但不限于数据存储、互联网应用开发环境、互联网应用部署和运行管理等服务。

として独立の項目が設けられていました。しかし2015年版を見ると、「互联网数据中心业务也包括互联网资源协作服务业务」(注:互联网数据中心业务=IDC業務)とされ、IDC業務にクラウドサービス業務は含まれるという記載がなされました。クラウドサービスの具体的な指定については2013年版の文言がそのままIDC業務の項目の後段に追加されました。

これにより、2013年版の時点ではクラウドサービスを営むためには「互联网资源协作服务业务」を許可範囲とすることが要求されると考えられていたものの、2015年版によって「IDC業務」を許可範囲とすれば良いとすると考えられます。

なお、2013年版では「互联网资源协作业务」と表記されていましたが、2015年版ではサービスを意味する「服务」が追加され「互联网资源协作服务业务」と表記されています。(全体的に、2015年版ではところどころ2013年版で不足していた用語・表現を追加した形跡があります。)

2. のCDNについては、2013年版は「内容分发网络」とだけ記載されていたものが、「内容分发网络(CDN)」と、この業務範囲が一般的なCDNサービスであることが明記されました。CDNの項目に関するその他の文言に変更はありません。CDNサービスの利用が中国においても一般的になっていることを示すものと考えられます。(例外として、ある特定の一社の経営許可証だけにはCDNという文言が含まれていました。)

3. についてはB25 信息服務業務(ICP)に関わる範囲で、2013年版と比較するとその定義の範囲を広く捉えています。博客、播客、微博などを例示していましたが、2015年版ではこのような具体的な表現は外されました。

国内マルチ通信サービス

また今回の2013年版・2015年版にいずれも追加され、新たに増値電信業務に追加されたものの一つに「国内マルチ通信サービス(国内多方通信服務業務)」があります。PSTNやインターネットを問わず、通信を用いて国内の二拠点または複数拠点との間を音声・映像で繋ぐものであるとしており、主にクラウド型の会議システムなどを想定していると考えられます。

今後の見込み

3月の施行以降、既に発行済みの経営許可証は現許可証の期限までは有効であるとしていますが、特にクラウドサービス分野とクラウド会議サービス分野については注目される領域でもあり、中国の各事業者がどのように許可範囲を広げる対応を見せるのかを引き続き確認していきます。

※なお、「IDCライセンス」という経営許可証が個別に存在しているわけではなく、増値電信業務経営許可証の経営範囲にIDC業務が含まれている場合、これを一般的に「IDC证(IDCライセンス)」と呼ぶことから、この表現を用いています。ISPライセンスも同様です。

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