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遠隔病理診断に触れる

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今日は大阪で病理に関するセミナーに一聴衆として参加してきました。きっかけは大阪大学大学院医学系研究科病態病理学講座の森井教授が中心となって進められている病理標本に関する照会などを行うシステムのうちデータ基盤部分をクララオンラインが支援させていただいたことで、このINPAS(INquiry to PAthological Specimen)と呼ばれるシステムを初めて紹介される場に立ち会わせていただきました。

病理の世界は臨床と違って直接患者さんと接する機会は(病理標本という存在を除けば)普段はなく、一方で病理を専門とされる医師の数は臨床に携わられている方と比べて極めて少ないのが現状です。折に触れて病理の世界について触れる機会がありますが、一人の病理の先生で診断している数を聞くと、実はものすごく短い時間で判断しなければならない世界であることもわかります。今日のセミナーでは画像診断ソフトを用いた場合との差について触れられているセッションがありましたが、まさにITの活用が求められている現場がここにあります。

今回のINPASというプロジェクトの背景には、阪大が連携している病院のうち、常勤病理専門医の方がいる施設は36施設、うち複数名の専門医が勤務している施設は10施設しかない、という点があるという指摘が森井先生からありました。これは即ち、診断に迷う場面があったとき、誰かに聞こうにもすぐに聞けるという環境は限られており、また施設によっては希少症例への診断の際にケースをもっていないということもあるということだということです。

INPASの利用が進めば、バーチャルスライドのデータをもとに、地域の中である程度顔を見知った先生同士が診断に対して遠隔でも意見を照会することができるようになり、いわゆる遠隔病理診断の実現に向けてぐっと近づくことになります。

医療の世界にITで貢献したいという思いは私個人の背景の中からも常に持ち続けてきたテーマの一つですが、まだ点と点、という状況ではあります。電子カルテ、医用画像、処方箋、診療予約などなど多種多様な分野がありますが、将来に向けて一つずつ実績を積み上げていきたいと思っています。

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