男女共同参画・ダイバーシティ

通称使用の拡大と「女性活躍加速のための重点方針2016」

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「女性活躍加速のための重点方針2016」

先週5月20日に政府が「女性活躍加速のための重点方針2016」を決定しました。13日に開催された男女共同参画会議ではこれらに盛り込む重点取組事項について決定し、さらに重点方針専門調査会の中でこれらを議論したところです。

今般、私は男女共同参画会議の議員及び重点方針専門調査会の委員としてこれらの議論に関わりましたが、他の議員・委員の皆さんからそれぞれの分野でのご発言がある中、あえて私からは「通称使用の拡大」に集中、比重をおいて発言して強調しました。ここでは少しだけ参画会議での発言の要旨と補足点について書き残しておきます。

通称使用の拡大の議論

今回の「重点方針2016」には、通称使用についてはこのような書き方で表現されました。

旧姓の通称としての使用の拡大
1. 住民基本台帳法施行令等を改正し、住民基本台帳及びそれに連動する
マイナンバーカードに本人からの届出により旧姓を併記することが可能となるよう、速やかに必要な準備を進める。また、国家公務員の旧姓使用が可能となる範囲の拡大を検討するとともに、地方公務員が旧姓使用しやすくなるよう地方公共団体に働きかける。
さらに、通称使用の実態、公的証明書や各種国家資格制度における現状と課題について調査検討を行い、その結果を踏まえ、企業や団体等への働きかけを含め、必要な取組を進める。

私としては、選択的夫婦別氏制度に関わる国民的な議論の一歩目として、通称使用に関する実態の調査検討が行われるということであれば賛成しています。選択的夫婦別氏制度の導入にあたっては国会の場での議論だけでなく国民全体が考える必要があることでもある一方、単に制度として導入すればよいということでなく、慣習のみならず、企業の立場でいえば氏名を管理する様々な人事システムへの影響もあります(参画会議が始まる直前、ある参画会議の民間議員の方から、私たちの会社の場合にはこのあたりのシステムはどうなっているのか、とちょうど尋ねられました)。社会への影響は相当大きいことが予想され、まずは通称使用が拡大することによってどのような影響があるのかを把握しよう、という最初のステップだと理解しています。

一方で、この通称使用を社会が認めていくということ自体は、いうなれば民法750条の夫婦同姓に関わる規定について、過去の法制審議会の答申(平成8年)や、同じく過去の男女共同参画基本計画に盛り込んだ選択的夫婦別氏制度に対する意見と比べて一歩手前のステップにあるという理解も必要です。

さらに、今年3月の女子差別撤廃条約委員会(CEDAW)から日本政府への総括所見(前回の勧告への実施内容も含む)では、改めて、わが国は民法を改正し、女性が婚姻前の姓を保持できるよう、夫婦の氏の選択に関する法規定を盛り込むよう強調されています。

進めるならば進める。止めるならば止める。

既に昨年末の最高裁での判決においても、選択的夫婦別氏制度に関しては国会でなされるべき議論であるとの意見も付されています。よって、「進めるならば進める、止めるならば止める」として明確な方針を示し、議論を宙に浮かせないようにしなければ、CEDAWをはじめ国際的にも曖昧な対応とみられかねないと危惧しています。(止める、とすることは国際的には受け入れられがたい方針だと思いますが、一方で国内には民法750条改正について反対意見があることも事実であり、今回の議論が改正・制度導入へのステップであるかどうかを明確に出来ないという事情があるのだろうと勝手に推測しています。)

従って、今回の重点方針の中で通称使用に関する積極的な取り組みが行われることは当然のことだという立場ですが、通称使用という段階でこの議論が止まることがないよう、政府にはぜひとも強い認識をもっていただきたいと考えています。

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