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北京のシェア電動車事情

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電動車のシェアリング

電動車。mobikeが今月から電動の自転車を投入し、中国のシェアバイクは次のステージに行こうとしている。電動車とはその名のとおり電気で動く二輪車。日本のスクーターの形をしているものもあれば、自転車にモーターがついているだけ(日本の電動アシスト自転車がアシストではなくそのままスクーターのように走るとイメージしていただくとよい)のものもある。とにかく様々なデザインのものがある。

北京では昨年夏ごろからこの電動車のシェアリング(共享电单车または共享电动车)が出始めたが、上海で見かける享騎のように自転車型(ペダルがあり、フレームが自転車のかたちをしているもの)と違い、北京に生息するシェア電動車は7号电单车を除くといわゆる電動スクーターに近いかたちである。

私が確認してきた限りではこの1年で6社のサービスが北京に登場し、少なくとも2社は現時点でもサービスを提供している。ただし、いずれも外国人はサービスは利用できない。(パスポートでは登録できず身分証番号の登録が必要であるため)

北京の場合、電動車の走行が禁止されている道路があったり、そもそもの(1)電動車のコスト (2)電動車が北京で本当にどこまで必要なのか(電動車が移動できるエリアは制限がある一方、そのエリアは自転車でも十分に移動できる) を考えると、シェア電動車の伸びの期待は上海のそれとはだいぶ環境が違う。

北京における各社の動向

北京の状況を一つずつ整理してみよう。ここでは

  1. mango(芒果电单车)
  2. mebike(小蜜单车)
  3. deer bike
  4. ponygo

の4つのサービスについて眺めることにする。

なおdeer bikeは後述のとおり既に北京でのサービスを終了している。これ以外にも似たサービスはいくつかあるが、たとえば松果电单车は北京にいる(いた?)ことになっているが見たことがなく外している。さらに7号电单车は北京に来ているが、普段の私の生息地ではなく五道口、中関村のほうに多く投下されており日々の動きをウォッチできておらず外させていただく。小ネタとしては、7号电单车と享騎の初期の車両は同じ自転車を採用している。また北京は上海と違ってナンバー規制がないためいずれのバイクにもナンバーはついていない。

ところで、ponygo は北京で登場してから1ヶ月程度であるはずだが、そもそも公式アプリがダウンロードできず生態系がよく分かっていない。私が見てまわった感覚では、当社のオフィスがある周辺で東三環路の三元橋から三里屯あたりまでの南北5キロ、幅1キロぐらいではおよそ数十台はありそうだが、100台はまだないぐらいの台数。走行している様子は一度も見ていないが車両自体は使われている様子はあるので、探し方が足りないだけの可能性がある。

これ以外には、昨年の記事ではあるが

の2つの過去記事をそれぞれご覧いただきたい。

よって、北京という中国の中でも限られた場所での様子をまとめている点、ご理解願いたい。中国は広いのだ。

芒果电单车(mango)

北京で生存が初めて確認できたのは2017年7月。黄色の車両に黄緑色のリアフェンダー(泥除け)が特徴だ。およそ25cm四方の前かごとステップ部分のバッテリーという至ってノーマルな電動車。

mango

mangoのシェア電動車

車両は新日(江苏新日电动车股份有限公司)のもので間違いないと思われる。新日の車両は街中でもよく見かける大衆車でトップメーカーの一つ。ECサイトで見ると似たような車両が2000元前後ぐらいで売られており、現実的に見積もっても一台あたり1200-1500元ぐらいが投入コストだろうか。16インチのホイールをはいている。

299元の保証金で、1分あたり0.15元+1キロあたり0.35元という距離+時間の併用制。停めてはならない場所、走ってはならない場所、そもそもサービスエリア外という3つのエリアはアプリ上の地図から確認できる。今回書いている4社のサービスの中では最もアプリの出来も運営もしっかりとしている。

小鹿单车(DEER BIKE)

続いて2017年9月に登場したのがDEER BIKE。ただしわずか2ヶ月の命だった。10月23日までにはサービスを停止し、もはや北京市内で DEER BIKEの車両は見られない。

出たての時に書いた記事はこちら。まさかそこまで早くいなくなるとは。

在りし日のDEER BIKE

在りし日のDEER BIKE

料金体系は2キロまで1元、そこからは1キロ0.5元。エリアから出ると1分3元という距離制料金。乗っている人も9-10月はチラホラ見たが、そもそも投入台数も多くなかった。

車両はペダルあり。14インチのホイールをはいていた(14x1.75)。メーカーは判別しない。手元の2017年版のカタログを見ても似たようなフレームは見当たらない。使われているパーツが圧倒的に北京・天津方面のメーカーで固められているので工場は天津あたりで間違いはないと思われる。

その上で、ほぼこのメーカーだろうと推測できるのは索罗门(SOLOMO)。ここは北京の自転車・電動車メーカーで、天津の武清に工場をもつ。パーツだけでは何ともいえないが、インフレームのバッテリーのデザイン、同一のシートでデザイン性が全体的に似ている。十中八九当たりではないか。今度聞いてくる。

報道によると、北京から持ち出された車両はその後河南省の洛宁の街に12月に移動されたようだが、1月に入って自転車が湖だか池だかに放り込まれている写真などが微博に上がっており、あまり歓迎されている様子はないのが心配だ。今日アプリで生存を確認してみたところ、洛宁にある車両は確かに反応しているが、さてさてどの程度使われているのか。

DEER BIKEのアプリの画面から見える洛宁での様子

DEER BIKEのアプリの画面から見える洛宁での様子

なおDEER BIKEにも細かく見ると2つの型が存在しており、その見分け方の一つは後期投入型にはフロントライトが搭載されていたり、バッテリーのコネクタ部分にカバーが付けられたりしていたことで確認ができる。

DEER BIKEの後期型

DEER BIKEの後期型

小蜜单车(mebike)

mebikeは生存している。先週、新車に偶然出会いもした。2017年9月に北京市内で見かけるようになり、10月頃には台数がだいぶ増えた。299元の保証金で、2.5元からスタート。1分あたり0.15元+1キロあたり0.4元という距離+時間の併用制だ。エリアから出ると25元が一律で課金される。利用前には10分以内の予約が可能で、一日あたり10回まで予約取消が出来る。

調べてみた限りでは北京と重慶、南京、合肥で車両投入が今日現在で確認できているが、他にももう少しありそう。(投入したはずの街でも確認できないものもある)

mebikeもどうやら2種類の型があり、昨年投入された型ではシート下部分にバッテリーを搭載しているが、1月に入って確認できた型ではステップ部分にバッテリーが確認できる。新型のメーカーは新日で確実だが、旧型のメーカーは確定できる情報はない。また旧型の車種は、後述するponygoの現行車両と同一のフレームである。(若干、後輪の仕様などが異なる)

mebikeの初期投入型

mebikeの初期投入型

mebikeの新車

mebikeの新車(2018.1確認)

優しいのは予約時に走行可能距離が分かること。以前に書いたドコモの自転車のバッテリー残量が確認できないという記事と中国のサービスの比較記事 (https://www.iemoto.com/2017/10/docomo-cycle/)を見ていただきたいが、これぐらいの表示で十分である。見ていると5km単位ぐらいだがこれぐらいの大雑把さでいい。

大まかな走行可能距離が分かるよ

大まかな走行可能距離が分かるよ

このmebike、初期の頃に南京に投入していた車両は現行の型とはまったく違うもの(以下の2枚は公式Weiboから)。

南京に投入されたときの初期のmebike

南京に投入されたときの初期のmebike

そしてこんな自転車まで検討しているようだ(実戦配備はされていない)。

mebikeの電動自転車のデザイン案

mebikeの電動自転車のデザイン案

mangoに並ぶぐらいに運営とアプリの出来がしっかりとしており、しかも全国展開がもっとも速く今後の展開が期待される。

小马单车(ponygo)

さて、もっともよく分からないのが小马单车(ponygo)である。そもそもponygoは昨年夏に北京で突如「真っ赤」な自転車を投入してシェア領域に参入してきた。チェーンまで赤く、センスという以前に何を訴えたいのかよく分からない自転車だった。ポニーを現したいのかもしれないがザリガニだよねという声も。

自転車版ponygo (Source: PCPOP)

自転車版ponygo (Source: PCPOP)

この自転車、スマートロックの形状が特徴的で、電池パック部分がいかにもゴツい。正直なところ自転車としての特徴はそれ以外には特になく、しかも「鍵が開けられない」という投稿が相次ぎ、私自身は少なくとも一台も見かけることなくどこかへいってしまった。赤いチェーンも今頃は既にだいぶ錆びているかもしれない。

昨年夏ごろであれば1-2ヶ月でいなくなるプレイヤーも珍しくなく、お金もつきたか、と思ったら、なんと思わぬ方向からボール飛んできた。電動車を投入してきたのだ。冒頭のとおり2018年の年始になって台数が増えてきており、自転車で5分移動すれば1台は見つかるぐらいの頻度になりつつある。

ponygoの電動車

ponygoの電動車

2台が並んでいるところも。

2台が並んでいるところも。

ところが使いようがない..。iOSのアプリは(これだろうと思うアプリは)サーバへの通信に失敗して使い物にならず、Androidアプリは過去に自転車時代にAPKが配られていた様子があるがまともにダウンロードできるところが見つからない。調べてみるとどうやら「宝驾出行」というシェアカーのアプリで自転車時代は解錠できたようなのだが、実際のところ車両に目新しさがあるわけではないため特に乗りたいわけでもなく早々に諦め。よっぽど暇なときに見つけたら再度試してみる。どうなるザリガニ。

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